政治を愛するお嬢様芸人のたかまつななさんに毎月気になるニュースを紹介してもらう「たかまつななの気になる数字ですの♪」。今回は「安倍総理の人柄」について。たかまつさんが、安倍さんという“人”に迫った本『安倍さんとホンネで話した700時間』を読んで感じたことをコラムにしてくれました。人柄を知れば、政治を身近に感じたり、新しい視点で考えることが出来るかもしれません。
安倍首相の評価
北朝鮮のミサイルが日本に飛んでくるのか。
安倍総理が憲法改正を2020年までにすると発言し、話題となった。
私は今、お笑い芸人として活動している一方で、東大に通って勉強している。
安倍首相のことを東大生は、どのように評価しているのだろうか。
意外にも、「歴代首相が嫌がって誰も手に付けなかった
安全保障に踏み切ったのはいいと思う」という意見である。
私も安倍さんの政策の評価は別にして、
そこに挑んだ姿勢は評価すべきだと思う。
「憲法改正」「安全保障」などは、
どうしても支持率を得にくい分野であり、かえって敵を作りやすい。
安倍さんって、なんか道徳とか愛国心とか言って、
ちょっと危ない人なんじゃないか……。
そう感じている若者も多いはず。
決して私は安倍さんを支持している訳でも、
極端に批判している訳でもないが、安倍さんが何故、そこに拘るのか。
安倍さんという“人”
安倍さんという“人”に迫った本がある。
『安倍さんとホンネで話した700時間』という本である。
この本は「ミヤネ屋」の政治解説でお馴染みの、日本テレビ解説委員・青山和弘さんが書いた本である。
タイトルにある通り、青山さんは安倍さんと700時間話したことがある人である。青山さんは、安倍さんの番記者をつとめたことがあり、安倍首相の家で取材をしたことがあり、安倍さんに近しい記者である。
青山さんによると安倍さんは、
「信用できるタイプそうでない記者とを分けて、
距離感をきっちり分けるタイプ」であるという。
つまり、本書は安倍さんに親しい記者だからこそ書けた本である。
安倍さんは、岸信介元首相の孫で、
安倍晋太郎元外務大臣の息子というスーパーサラブレッドである。
おじいちゃん子だった安倍さんであるが、1960年、
日米安全保障条約改定の頃はデモ隊が連日、家を取り囲んだという。
火をつけた新聞紙が投げ込まれ、ついにおじいちゃん(岸元首相)は、
首相官邸で暴漢に襲われ、左太ももをナイフで刺された。
弱い者を守るという感情が芽生えたのは、
おじいちゃんが世間からいじめられているという考えからきたのではないかという指摘から始まる。
そして、いつも面白い話をしてくれていた祖父への憧れが強く、
安倍さんの奥様いわく、「主人も話好きで話が面白いじゃないですか。家族での食事の際も、いつも主人が喋っているって感じ」だと言う。
安保関連法案の際に、法案の中身が難しいという国民の批判にこたえ、
火事に喩えた。しかし、その例えがかえって分かりにくく、本質からそれていると批判が増した。
「喩え話をするのはわかりやすいけれど、
首相が持ち出すのは難しいんだよな」
と著者の青山さんにも以前語ったという。
私たちは、政治を結果からしか語らない。
というか、語れないのかもしれない。
私たちは、「説明不足だ」と批判し、
説明したら、「それは間違っている」と批判もする。
この場合は、安倍さんがいけないと私は思うが、
その人柄を見ると見方が変わる。
私たちに歩みよろうという姿勢を感じる。
私はこの本を読むまで、結果だけ見て評価していた。
でも、その過程を見たり、人柄から納得したり、内側を見ることも時に
必要なのかもしれないとこの本から読み取った。
安倍さんは失言が多い人である。
それは短気だから。
だから、野党は簡単で、安倍さんを
イライラさせる質問を投げかければいいらしい。
そういう視点で、国会中継を見ると、
より政治を面白く感じるかもしれない。
本書は安倍さんを褒めているとことも
批判しているところもある。
だからこそ、面白い本。
ぜひ人柄から政治を読み解いてみてください。
「安倍さんって、こんな人だからさ〜」って
飲み会で世間話したら、一目置かれるかもしれない。
政治はドキュメンタリーである。
人柄がにじみ出てくる本書を読み、
パーソナルから紐解く政治の面白さをぜひ体感していただきたいです。
私も、好きなことに700時間、没頭したいです。
皆さまは700時間さいたものございますか?
※次回は6月29日(木)更新予定です。お楽しみに!
たかまつなな
お笑いジャーナリスト・お嬢様芸人・株式会社 笑下村塾代表取締役
フェリス女学院出身のお嬢様芸人として、テレビ・舞台で活動する傍ら、 お笑いジャーナリストとして、お笑いを通して社会問題を発信している。18才選挙権を機に、若者と政治の距離を縮めるために、株式会社笑下村塾を設立。「笑える!使える!政治教育ショー」を開発し、全国に出張授業・講師養成を行う。
芸能活動をする一方、東京大学大学院情報学環教育部、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科で学業に勤しみながら、講演会・シンポジウム・ワークショップ・イベント企画など手がける。
夢は、お笑い界の池上彰になることである。
株式会社 笑下村塾HP:http://www.takamatsunana.com/