【夢の高額当せん者インタビュー外伝】「3大奇跡」と「金メダル神社」が15億円呼び込んだっ!!

2018/04/02

これまで本誌では高額当せん者を数多く紹介してきたが、今回は売り場の人が教えてくれた高額当せん話を紹介したい。「3つの奇跡」としかいいようのない不思議な出来事が起こった、愛知県のとある売り場の話である──。

15億円もの高額当せんを出した酒店が語る大当たり「3つの奇跡」

第1の奇跡

 「最初の奇跡は宝くじを売り始めてすぐにやってきたんです。いまでも鳥肌が立ちます」

 店を切り盛りする服部啓子さん(67才)はこれまで誰にも明かさなかった3つの奇跡を静かに語りだした。

 名古屋駅から東海道本線を豊橋方面の快速に乗り10分余り。JR共和(きょうわ)駅から徒歩6~7分ほどの住宅地にその酒店はある。ごく普通の街の酒屋さん。知らず通れば、だれもこの店からジャンボ宝くじ1等3本、計15億円が出ているとは思わないだろう。

 店主の服部定信さん(75才)が酒店を始めたのはいまから47年前。3年後に啓子さんと結婚。二人三脚で大府市でも屈指の酒店にまで繁盛させてきた。しかししだいにコンビニ販売網が拡大し、個人酒店には厳しい時代がやってくる。そのとき、啓子さんが思いついたのが宝くじ販売だった。

「宝くじを扱いだしたのは平成7年4月。最初は売り方もよくわからなくてたいへんでした」

 その年の年末ジャンボでは、割り当てが少なかったせいで、販売期間の途中で売るくじがなくなってしまった。困った啓子さんはくじが余っているという売り場にお願いして、1000枚だけくじを分けてもらい、なんとか最終日まで販売することができた。

「実は分けてもらった1000枚の中に1等前後賞の当たりくじが入っていたんです」

 当時の年末ジャンボは1等6000万円、前後賞各3500万円の計1億3000万円。これが第1の奇跡だ。

 驚くのは、よその売り場にわずか1000枚のくじを分けてもらいに行って、大当たりを持ってきた啓子さんの引きの強さだ。

「なぜかしらね、実は私自身、けっこう引きが強いと思ってるの」

 茶目っ気たっぷりにこう話す啓子さん。過去に、自ら地方くじで100万円を当てたこともある。この引きの強さを語るには地元の八ツ屋神明社の紹介から始めた方がいいだろう。この社が有名になったのは、6年前。ロンドン五輪を前に地元・至学館大学を卒業し共和町在住だった女子レスリングの吉田沙保里選手が必勝祈願に訪れ、見事、金メダルに輝き、五輪3連覇を遂げたことまでさかのぼる。それが縁になり、至学大学女子レスリング部の選手が全員で必勝祈願に訪れるようになった。

「2年前のリオ五輪の前には、吉田さんを筆頭に、土性沙羅、登坂絵莉、川井梨紗子さんたちが必勝祈願。吉田さんは残念ながら銀でしたが、ほかの3人が金メダル。リオから帰国後、4人が共和町で祝賀パレードをしてくれました」

 このご利益に、共和町では八ツ屋神明社を「金メダル神社」と命名。いまでは全国から観光客がご利益を求めて立ち寄るスポットになっている。

 聞けば、平成7年に宝くじを売るようになってから、啓子さんは毎ジャンボ前に、店に届いたくじを神社に持参。当せん祈願を欠かしたことがない。不思議なくらいのふじや酒店の引きの強さは、この金メダル神社のパワーなしには語れないだろう。ふじや酒店では、最初のジャンボ1等を出したのちも、当たりが続く。

「ブラジルから夫婦で大府市の工場に働きに来ていた人がスクラッチで2000万円を当てたこともありましたよ。すぐにブラジルに家を買って、メイドさんを雇って暮らしていると聞きました(笑)」

 ロトナン4月号高額当せん者外伝金メダル神社

図1:金メダル神社として人気の八ツ屋神明社(大府市共和町2-11-1)

 

ロトナン4月号高額当せん者外伝絵馬

図2:境内の2018年新たに納められた吉田沙保里さんら、至学館大学レスリング部関係者の絵馬

 

ロトナン4月号高額当せん者外伝お祈り

図3:ジャンボの前に宝くじ持参で当せん祈願する啓子さん

第2の奇跡

 そしてロンドン五輪で地元の吉田沙保里選手が金メダルを獲得した歓喜がひと段落した平成26年、第2の奇跡である年末ジャンボがやってくる。啓子さんによると、

「以前、100万円が当たったこともあって、販売期間中の大安や一粒万倍日で〝この日〟と思う日に、自分用にくじを数十枚買っておく習慣があって、このときもバラ50枚を取り分けておいたんです」

 いよいよその販売最終日、12月19日の夜、そろそろ店を閉めようとしているところへ、一人の男性が駆け込んできた。

「毎回、ジャンボのたびに買いに来る40代の男性。そういえば今回は来ないなと思っていたんです」

男性は「仕事が忙しくてなかなか買いに来られなくて。バラ50枚お願い」

 ところが、すでに店頭にはバラのくじは品切れ。

「ごめんなさいね。もう売り切れてしまってないのよ」

 しばしの沈黙。すると、その会話を店の奥で聞いていたご主人の定信さんが顔を出した。

「お母さん、あんた、自分用に取っておいた分があるだろ?」

「そりゃあるけど、あれは……」

「ウチは売ることが商売なんだから、それを分けてあげなさいよ」

 ふじや酒店は定信さんのこの生真面目な商売への姿勢が地元で評判になって大きくなってきた店。そう思った啓子さんはカウンターの後ろにある引き出しから、バラ50枚を取り出して、その男性に手渡した。

「私の直感で選んだくじだからね、当たるかもしれないよ」

「それじゃ当たったら報告に来ないといかんな」

 と、軽口をかわして、彼は去っていった。

 年末ジャンボの抽せんは大晦日。年が明けた1月6日の換金開始日に、再び、その男性は店にやってきた。

「おばちゃん、これ見て」

 この時点で、自分の店から1等が出たことを啓子さんはまだ知らない。まさか高額当せんとは思わず50枚のくじを受け取った。あまり当せん確認のお客さんが多くないことから、店には当せんを調べるオートチェッカーはない。

 1枚1枚、啓子さんが目視で当せん確認していった。

「残念ねえ、2等までは当たっておらんわ」

「おばちゃん、いちばん上のくじをよく見てよ」

 1等の当せん番号は92組169296番。あら末尾が5だから、惜しい1番違いかと思ったとき、

「1等前賞1億円だよね」

 なんと、宝くじ販売歴20年の啓子さんも1等に前後賞があることを自失してしまうほどの出来事だったのだ。

ロトナン4月号高額当せん者外伝年末ジャンボ券

図4:常連の男性が持参した平成26年年末ジャンボ1等の前賞1億円当たりくじ

 

「幸い、ほかにお客さんもおらんかったから、それからはもうたいへん。『よかったね、よかったね』と言いながら、記念にそのくじをカラーコピーさせてもらって」

 彼は元日に新聞記事で当せん番号を確認し、バラ50枚のうちの1枚が1等前賞に当たっていることを知ったうえで、啓子さんにお礼を言いたくて、やってきたのだった。

「その後もちょくちょく店にいらっしゃいますよ。当たった直後に欲しかった時計を買ったと聞きましたけど、勤め先もやめずに堅実な暮らしぶり。本当にいい人に当たったと神さまに感謝しています」

 と、まるで母親のように語る啓子さん。この1億円を含め「店から1等前後賞7億円が出た」と、銀行から連絡があったのはこの出来事の直後だったという。

第3の奇跡

 前述したように、平成28年、リオ五輪では八ツ屋神明社で必勝祈願した川合、登坂、土性の3選手が金メダルを獲得。銀メダルの吉田選手の4人が共和町で凱旋パレード。町は熱気にあふれた。それから1年後の昨年6月抽せんのドリームジャンボで第3の奇跡はやってきた。

「このドリームは全国で1等が13本しか出なかったのですが、その1本がこの店から出たんですよ」

 そして抽せん日から2週間ほどして、郵便物が店に届いた。
「差出人や住所に心当たりはないし、なんだろうと思って、開けてみたら、お礼状と3枚の宝くじが写った写真が同封されていたんです」

 その写真の番号を見ると、なんと1等前後賞と合致。7億円をいっぺんに当てた人からの礼状だったのだ。

「あとで調べたら、書かれている住所は大府市役所のもの。市内に住んでらっしゃる人かもしれません」

 その手紙と写真をいまも啓子さんは大切に仏壇に飾っているが、全国の売り場を見回しても、当せん者からこうした礼状が届くことは極めてまれ。まさに店とお客さんの良好な関係があってこその宝物といえるエピソードだ。

ロトナン4月号高額当せん者外伝ドリームジャンボ券

図5:平成29年ドリームジャンボで店から1等前後賞7億円が出た直後に店に届いた礼状と連番くじ3枚の写真

 

 

 啓子さんは4年前から大府市の「ふるさとガイドおおぶ」に入会。八ツ屋神明社の成り立ちなどを観光客に案内するガイドも務めている。

「地方の、販売数も高が知れている酒店で、こんなに当たりが出るなんて、目に見えない力が働いているようにしか思えません。地域に恩返しすることで、また店にパワーをいただけるように思うんです」

 最後に平成26年の年末ジャンボ、譲っていなかったら、啓子さんが億万長者ですよね?

 とあえて尋ねると、

「私が当てたら、こんなふうに話もできないし。お金以上のものを私はいただいたと思ってるんですよ」

 それを引き継いで、ご主人の定信さんも、

「ウチが当たったらいかんのです。ウチは当たりを売るのが商売。お客さんの『当たった、当たった』が最高の誉め言葉なんですよ」

 宝くじの神様はこんな心掛けの売り場にこそ奇跡をもたらすのだろうか。

ロトナン4月号高額当せん者外伝ふじや酒店夫妻

図6:店主の服部定信さんと啓子さん夫妻。昨年、店内にミニ神社を新装し、さらなる「億招き」

大当たり「3つの奇跡」

ロトナン4月号高額当せん者外伝経緯

 

※この記事は「ロト・ナンバーズ『超』的中法2018年4月号」の夢の高額当せんインタビュー外伝『「3大奇跡」と「金メダル神社」が15億円を呼び込んだっ!!』を一部抜粋変更したものです

ふじや酒店

ロトナン4月号高額当せん者外伝ふじや酒店

住所:〒474-0061 愛知県大府市共和町3-16-12

金メダル神社【八ツ屋神明社】

ロトナン4月号高額当せん者外伝金メダル神社

住所:〒474-0061 愛知県大府市共和町2-11-1

 

愛知県の公式観光ガイド「AichiNow」

金メダル神社【八ツ屋神明社】紹介ページ

https://www.aichi-now.jp/spots/detail/1656/

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