編集部に届いた一通のメール。そこにはナンバーズ4でストレート6口とセットストレート1口に当たった当せん結果画像が添付されていた。総額690万7300円。当たった回号は第5340回、2019年最後の抽せん回だ。年の暮れに起こった大逆転劇、そこにはきっとドラマがあるに違いない。昨今の事情を鑑み、さっそく電話での取材を敢行した。
岐路にはいつも当たりがあった!ナンバーズ4で一撃690万7300円!
「もともと勝負事が好きなんですよね」
そう切り出したH・Sさん(仮名・40代)。若いころから賭け事が好きでパチンコなどにもよく行くという。
「25年ほど前になにかの雑誌で読んだんですよ。毎回25口買って100万円投資したところで3000万円が当たった人の話を」
それがナンバーズとの出合いだった。闘争心に火がつき、“自分も続きたい!”そう思ったH・Sさん、当時週2回行われていたナンバーズ4で、毎回1~3点ほどの予想をストレートで10口買うことにした。雑誌に載っていた当せん者の買い方に倣ったのだ。パチンコとは違い、1口200円から買える手軽さも相まってナンバーズの魅力に徐々にのめりこんでいったという。
「当時派遣会社で働いていてそこそこ稼いでいましたから、お金に余裕はありました。でも当たりのほうは全然で(笑)」
5年以上粘ってみたが、さっぱり当たりが来ない。そこで可能性を広げるため、セットも買うようにした。30代のころだ。
「自分なりに出目表を作って数字の流れを見たりはしていたんです。でもやっぱりストレートでいきなり当てるのは難しいと気づいた。そこでセットも買うように切り替えたらちょいちょい当たるようになりました」
当せんの喜びを知ったH・Sさん。さらなる当たりを重ねようと、狙い目を適宜変えながらナンバーズを続けていた。そんなある日……。
「気になった車のナンバーでも買ったりするんですが、当時乗っていた車の『0001』をしばらく狙ってたときがあったんです。でもトリプル数字だし、なかなか来ないからって数字を変えたら2ヵ月後に来ちゃって!」
思わず語気も荒くなるほど悔しかったのだろう。以来、狙った数字は出るまで買い続けるようになった。ナンバーズあるあるの苦い経験がH・Sさんの買い方にも変化を与えたのだ。
もともとは高額当せん者への憧れだった。でも一度にたくさん買えば当たるわけじゃないかもしれない……。そこから自分なりに試行錯誤しながらたどり着いたのが今の買い方だという。1点狙いでストレートを1~3口、セットを1口。狙った数字は出るまで買い続けること!
初のストレート当せんが社会復帰への足掛かりに!!
初めてストレートに当せんしたのは2012年のこと。「まだまだインターネットが今ほど普及していない時代でしたから、ナンバーズの攻略法といった情報もなくて。相変わらず自分で数字の流れを見つつ、気になった数字を買っていました」
このとき、よく見かけた「0808」。車のナンバーだ。すでにナンバーズキャリアも10年選手となっていたH・Sさんは長年の経験から「ダブル数字」、そして「0」を入れると高配当だとわかっていた。ただ、このままだと日付になるので配当は下がってしまう。しかも直近で似た並びの数字が出ていたため、「8008」に並びを変更。これが功を奏した。
「ぴったり数字が一致して『よっしゃ!』って。やっぱり買ってれば当たるんだって実感しました。ただ、高配当を狙ったつもりがこのときはストレートで37万円だったんで、少しがっかりでしたけどね(笑)」
第3411回ナンバーズ4「8008」
ストレート2口+セットストレート1口
97万7500円当せん!
とはいえ、一気にまとまったお金を手にしたH・Sさん。その使い道はというと、半分は生活費として使い、残り半分はパチンコでスってしまったという。それも1週間で、だ。
「このころ勤めていた会社を人と衝突して辞めちゃってたんです。で、若干自暴自棄だったんですよね(苦笑)」
そこにさらなる不幸がH・Sさんを襲う。その年の暮れに交通事故にあい、おでこに8センチの傷を負って救急搬送。後遺症も残り、しばらく通院することになってしまった。無職の上に事故、たちまち税金も支払えないほど困窮してしまった。
「ただ、追突されたもらい事故だったこともあって翌年には保険がおりました。870万円くらいだったかな」
まずは溜まった税金をすべて支払って身ぎれいに。さらに再就職への足掛かりとして大型自動車免許など15もの資格をとるための資金に充てた。まさに心機一転。ささくれた気持ちを切り替えて、出直しを図ることにしたのだ。
おかげで無事就職も決まり、元の穏やかな生活を取り戻すことができた。
「結果論ですが、くじの当たりをきっかけに人生をリスタートすることができました」
二度目のストレート当せん。ここにもちょっとしたミラクルが!?
それから6年後の2019年12月。その年最後の抽せん日でもある30日のことだ。
無事仕事納めを迎え、気持ちに余裕もあったH・Sさん。ちょっと勝負をかけてみてもいいかもしれないと考え、ストレート5口にダメ押しで1口追加。いつものセット1口ももちろん購入した。こんなに買ったのは久しぶりで、たまたま年末だったからだ。
「そうしたら来たんですよ、ストレートが! いや~これはうれしかったですね。おまけに今回は配当も100万超えで高かったですから(笑)」
以前味わった悔しさから狙った数字はセットでも当たるまで変えない方針だったH・Sさん。狙う数字は未出現ストレートの数字だ。このときは「9680」を買うつもりだった。でも狙うなら高配当になる数字がいい。そこで前回と同じくダブル数字に「0」を入れた「9980」にアレンジ。すると買い始めてから2ヵ月ほどで今回の当たりにつながったのだという。
「来ないときは数年単位で買い続けますが、今回は運よく早く出てくれました」
第5340回ナンバーズ4「9980」
ストレート5口
527万9500円当せん!
第5340回ナンバーズ4「9980」
ストレート1口+セットストレート
162万7800円当せん!
年末最後のミラクル当せんで、当せん金は総額690万7300円! 前回はパチンコで半分をあっという間に使ってしまったというが、今回はというと……。
「私も40代になってだいぶ堅実になったんでしょうね。買い換えようと思っていた車に半分使いましたが、残りは貯金に回しました。若かったらまたパーッと使ってたでしょうから、今、この歳に大きく当たってよかったです」
そうこうしているうちに昨今の新型コロナウイルスで外出自粛の生活が始まってしまう。
「前回もそうですが、『俺の人生、くじ頼み』なんですよ。生活が不安定になってくると不思議とくじが当たるんです。数百万あれば人生変わりますからね」
まさに経験してきたからこその言葉と言えるだろう。
ただ、H・Sさんもたまたま当たりを引き寄せたわけではない。20年以上、ナンバーズを買い続けてきたからこそわかる狙うべきタイミングにしっかり買っているのだ。これは経験のなせる業だろう。
さらに「買わないと当たらない」――これもH・Sさんは口にする。そして出るまで“これだ!”という数字ひとつを狙い続けるのだそう。
「そういう意味では狙う数字は私にとって重要なので、予想に1週間は使いますね」
1週間かけて考え続けた数字だからこそ、いつか出るという絶対の自信をもって狙い続けられるのかもしれない。
「これまで何度もくじによって助けられてきましたから、これからもずっと続けていきたいと思っています。早く売り場も再開されるといいんですけど」
ネット買いが基本だが、ふと通りかかったときには売り場で買うこともあるというH・Sさん。早く新型コロナウイルスが終息して、また心置きなく宝くじが楽しめることを願っている。
※この記事は『ロト・ナンバーズ「超」的中法2020年7月号』の[夢の高額当せん者インタビュー]を一部抜粋変更したものです