編集部に一通のハガキが送られてきた。裏面を見ると、ロト6で2等811万円が当たったことがあると記載されていた。さっそく送り主に連絡を取り、新型コロナ感染拡大防止に注意を払いながら、北の大地へと向かった!
初めて買ったロト6で2等・811万円当せん!
買ったのを忘れていた翌日、当せん確認すると、そこには!?
M・Mさん(仮名)北海道・49才
日本の本土最北端の地、北海道稚内。この地で指定された時間に現れたのは、ニコニコとした笑顔が似合う30代半ばとも見える男性。そう、今回の主人公M・Mさん(仮名・49才)だ。さっそく場所を移して取材が始まった。
「実は、買ったのを忘れていたんですよ」
前日に宝くじ公式サイトで購入したロト6。
「その日買ったものをチェックしようと思ったら、前日買ったロト6に当たりって出ていたんですよ」
昨日、ロト6を買っていたことを思い出したM・Mさん。「当たり」の表示が出ているところをタッチしてみると……。
「妙に数字が当たってるんですよ(笑)。で、下を見たら811万円ーーって!」
第1429回ロト6「04 08 13 18 21 23(22)」
2等811万5700円当せん!
自宅で当せん確認をしていたM・Mさんはすぐさま奥様にこのことを伝えると。
「まーーったく信じてくれませんでしたね。『夢物語は信じないよー。振り込まれたら信じるよ』って感じでした」
1人だけ興奮状態だったと話すM・Mさん。その晩は、寝ようとしても寝られなかったという。突然降ってわいた大きな当たりに動揺しっぱなしだった。高額当せん者だけが味わえる、ある意味至福の瞬間だろう。
「3日くらいして振り込みがありましよ。妻に見せたら、『えー、すごいねー』ってやっと信じてくれましたよ。でも、あまり実感はないようでした(笑)」
幸運な当せんを果たしたM・Mさん。しかし……。
「なんか、欲が出るというか、あとから沸々と悔しさが出てきましたねー」
2等といえば、本数字5個にボーナス数字がピタリ合うわけだが、本数字が6個なら……と「たられば」を考えてしまった。
「その悔しさが、いまもロトを買う原動力になってるんですけどね(笑)」
そうニコニコと話してくれるM・Mさん。ところどころに人柄がにじみ出ている。ちなみに、今回の当てたロト6はというと。
「実は初めて買ったんですよ(笑)。なんかすいません、初めて5口買ったうちのひとつが、当たってしまって」
とんでもない強運の持ち主なのだろうか!? ビギナーズラックは、たまに聞く話ではあるが、この高額は珍しい。
「一昨年から宝くじ公式サイトで買えるようになったじゃないですか。それで買ってみようかなーって思って」
なんとも羨ましいビギナーズラックである。元々、運が強いのだろうか。
「いえいえ、そんなことはないです。これまで10年以上ジャンボ宝くじをメインに買ってきましたが、まったく当たりませんでしたし(笑)」
するとたまたまタイミングがよかった、ということなのか。ちなみに数字選びはどうやったのだろうか。
「これ、ひらめきだったんですよ。何も考えずに思いついた数字を選んだだけなんです」
ちなみに、これ以降はロトを買うときはクイックピックにしているというM・Mさん。
「仕事が忙しいので、数字を考えている時間があまりなくて……」
なんとも欲があるのかないのかわからないM・Mさんだが、ロトの話をしているときはとても楽しそうである。買い方にこだわりがなくても「楽しんでいる」ということだけは伝わってくる。これが当たりを引き寄せた理由なのかもしれない。
等811万5700円が振り込まれたことを証明する通帳!
「宝くじ当せん金」の文字がまぶしいっ!!
20代はちゃらんぽらん!?作った借金も400万円強!
気になる当せん金の使い道はというと。
「500万円は貯金です」
ほか200万円は、再び宝くじに投資するためのお金なのだとか。
「あと両親に50万円と、家族旅行に使いましたね」
とても堅実な使い方に見えるが……。
「昔はお金に困ってばかりでしたね……。400万円ほど借金があった時期もあるんですよ」
話は20代までさかのぼる。
「当時お付き合いしていた彼女にお金がかかりまして……」
惚れた弱みか、彼女が欲しいものをプレゼントし、行きたいところへ行き、食べたいものを食べさせたという。
「気が付けば借金がどんどん膨らんでいました」
結局、その彼女とは破局し、借金だけが残った。
「必死に働いて返しました。そのときは、両親にも迷惑をかけてしまいましたねー。だから今回の当せんでは、少しですが50万円ほどプレゼントしたんです」
20代後半になり、ようやく借金返済にもめどが立った。そして、そのころにお付き合いしていた女性とゴールイン。
「ようやく人並みの幸せを手に入れた感じでした(笑)」
2人の子宝にも恵まれた。しかし、幸せは長続きしなかった。
「私、技術職なのですが、結構転勤があるんですよ」
その当時も転勤を繰り返していたという。
「妻にはそれがかなり辛かったようです」
転勤した地に少し慣れると、また転勤……。
「仕方ないですよね」
それまでニコニコとした表情だったM・Mさんだったが、このときだけは視線は遠くを見ていた。
「子どもは向こうが引き取って、もう20才を迎えたんじゃないですかねー」
時は流れ続ける。そして、M・Mさんにも再び幸せが訪れることに。
「10年ちょっと前ですかね、36、37才のころに再婚したんです」
なんといま小2の男の子がいるというではないか。なんとも数奇な人生。
「まだまだがんばらないと、ですね(笑)」
再びニコニコとした表情を見せるM・Mさん。
「最近、走るようにしているんです」
体力作りの一環だという。
「昔の趣味は車いじりだったんですが、最近のコロナ騒動で変わりましたねー」
さらに、20才から吸い続けてきたタバコも止めたのだという。
「タバコって、止めるとわかるんですが、気持ちが吸わせるんですよ」
なんとも深い一言である。
「いまロトで大きな当たりを狙ってますから、少しは自分にも制約を課さないと」
欲を出しては当たりは逃げる、そうも話してくれた。ジャンボ宝くじで1等前後賞・合わせて1億3000万円を当てた福岡県・南蔵院の林住職も同じことを話していた。
「適度な額で続けることが大事だと思いますね」
M・Mさんが1回のくじに使うお金は1000円と決めているという。
若いころの大きな借金を作ってしまった失敗があったからこそ、いま堅実なお金の使い方ができているのだろう。
お金じゃないものが欲しい!心の優しい人になりたい!
普段の生活で気を付けていることはないのだろうか。
「実は私、高校のころから働いていたんですよ」
聞けば定時制の高校に通いながら、家計を助けていたという。
「そのとき、父親から仕事は人のためにしろ、って言われたんですよ」
そのころは意味がわからなかったM・Mさんだったが。
「30才過ぎてからは少しずつわかってきました。だから普段心がけているのは、いまは人のために仕事をするってことですね」
さらに当てる秘訣に関しても。
「やっぱり、笑顔じゃないですか(笑)」
そういうと、また飛び切りの笑顔を見せてくれたM・Mさん。思わず、記者も笑顔になる。
「そう! それなんですよ。笑顔でいたら相手も笑顔になる」
しかし、昔から明るい性格だったわけではないというM・Mさん。
「子どものころは、おとなしかったですよ(笑)」
きっかけは、社会に出てから、正確には30才を越えてからなのだとか。
「技術職ですが、お客さんともお話ししないといけないんです。ぶっきらぼうな感じじゃダメでしょ(笑)」
おっしゃるとおり。
「本当はお金じゃないものが欲しいんですよ」
意味深なことを話し出したM・Mさん。
「私ね、心の優しい人になりたいんです」
お金よりも大事なことがある。そのひとつが両親であり、妻であり、息子だと話す。すでに十分すぎるほど、心の優しい人に見えるが……。
「そうですか(笑)。でも、本当にいまの妻には感謝しているんです。いい人と出会ったなーって心底そう思えますから」
最愛の妻、そしてM・Mさんには、M・Mさんにしかわからないゴールがあるのだろう。最後に今後の目標を聞いてみると。
「ロトで『億』を当てたいです(笑)。宝くじには感謝しかないですから」
自然体でくじを楽しむM・Mさん、望む当たりも意外に近くにあるのかもしれない。
※この記事は『ロト・ナンバーズ「超」的中法2020年11月号』の[夢の高額当せん者インタビュー]を一部抜粋変更したものです