2011年3月11日、未曽有の災害が東北地方を直撃した。あれから2年……本誌恒例企画である金華山黄金山神社への奉納祈願。2013年の様子を紹介します。
※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2013年5月号』発売当時のまま、掲載しています。
応募総数過去最多となった震災2年目の絵馬奉納
記憶に新しい2年前の2011年3月11日、東北地方を中心に広い範囲を襲った未曾有の震災。あまりの被害に、復興という言葉の無力感を痛感した2012年。
――あれから1年が経った。
今年は、当企画史上最も応募絵馬数の多い年となった。その数、驚きの1956枚。その絵馬を携えて、2013年3月6日、鮎川港に立ったのは、本誌編集長。港の風景を見て、昨年からの大きな変化を感じずにはいられなかった。そう、復興に向けて確実に前進していたのだ。
金華山へ船を出してくれる方と、出発までのしばしの時間、話すことができた。
――聞けば、2011年3月11日の地震発生時、すぐに津波が来ると思い、取るものも取りあえず、高台に避難したのだという話。鮎川の方は、ほとんどが地震発生直後から高台に移動したということ。それでも鮎川全体で亡くなられた方が30名弱もいたこと…、など当時の話を聞くことができた。地震、そして津波を体験したからこそできる話は、生々しく、聞いているだけで背筋が凍りつくものだった……。
ひとしきり話を聞いたところで、ちょうど金華山行きの船が到着。カメラマンと2人で乗り込み、いざ金華山へと向かった。幸い、海も荒れず、うみねこが船を追いかけて飛んでくるような、穏やか光景が広がっていた。
金華山の船着場に到着すると、昨年見た金華山の景色とは、だいぶ変わっていた。昨年は、津波が襲ってきたそのままの状態だったが、今回はガレキが撤去され、道もよくなっていた。と、そこにいつもお世話になっている神職の大久保さんが迎えに来てくれた。この1年での出来事聞きながら、神社へと向かった。
神社に到着すると、待合室に通された。静かに奉納祈願への準備をしつつ、ふと絵馬に目を向けた。今年は過去最大枚数の絵馬がある。そのすべての願い事を神さまにお伝えすること。それに集中し、そのときを待った。
絵馬に加えて、御初穂料として多くの方がお金を同封してくださいました。
そして、神殿へと通され、奉納祈願の神事を開始する太鼓が打ち鳴らされたのであった。
絵馬1956枚の願い事、すべて神さまに届きたまえ
まずは典儀によって、神事の始まりを神さまに伝えるところから始まる。そして神事に参加する者の身を清める祓いを、大麻(おおぬさ)を振り祓うことで行うのだ。
大麻によって、身を清めてもらう編集長。身も心も清めたことで、ようやく神事に挑むことができるのだ!
次に、「祝詞奏上」。斎主に祝詞によって、今回の絵馬1956枚の願い事を神さまに届けること。参列者すべてが低頭し、ひたすら祈った。
――神さま、どうか1956枚すべての願い事をお聞きください。どうか、お願いします。
――神さま、どうか震災で苦しんでいる人の心が少しでも安らぎますように。どうかお願いします。
――そして、復興が1日も早く進みますように。
――神さま、どうかお願い致します。
祝詞は長くはなかったが、祈りを捧げていたためか30分くらい低頭していたように感じた……。
次に、巫女による神楽が奉納される。ここ金華山黄金山神社では、「弥栄(いやさか)の舞」が奉納される。何度見ても美しい巫女の神楽に、しばし時を忘れた。
ゆっくりとした動きの中に、時おりシャープな動きと鈴の音が鳴る弥栄の舞。この神楽は、一度は見るべきだろう。
神楽が終わると、参列者に神さまからの祝福を与える「金幣(きんぺい)の儀」が行われる。斎主により、大きな金幣が、参列者にかざされるのだ。編集長にかざされたことにより、1956枚の絵馬に、金幣がかざされたことになる。つまり、絵馬奉納者に祝福が与えられたということになるのだ。
神前に向けて深々と低頭する編集長。そして斎主から、金幣をかざしてもらい祝福を受けるのだ!
最後に、神さまに恭順を示す「玉串奉典」。榊を神前に向けて供え、二礼二拍手一礼。これですべての奉納祈願が滞りなく終了した。
神前に榊を供え、二礼二拍手一礼。これで神事が無事に終了した!
なお、奉納された絵馬は、2013年3月18日、巳年御縁年大祭に合わせて、金華山頂上の大海神(おおわだつみ)神社でお焚き上げされた。
――ふと、境内に出たときに、金華山に生息している鹿が寄ってきた。金華山において「鹿」は、神さまの使いなのだとか。その鹿が、寄ってきたということは、今回の1956枚の願い事が神さまに届いたことを意味するような気がした。と同時に、無事に神事が終わったことに安堵した瞬間でもあった……。
金華山の鹿と戯れる編集長。
奉納後記
あの震災からまもなく2年が経過しようとしています。すでに薄らとした記憶になっている方もいるかもしれません。
しかし、実際に現地を訪れると、復興という言葉は、まだまだまだまだ、という印象を受けます。
ただ、沈んでいるだけでなく、力強く生きる人々の姿を、ところどころで見るたびに、こちらが元気をもらうような感じになりました。
船会社の方の話によると、5月から不定期で金華山へのフェリーを出すということでした。うれしい反面、参拝者の方がどれくらい来てくれるか、それによっては不定期でフェリーを出しても赤字になってしまう、という話もしてくれました。
そこで今年も読者のみなさんへお願いです。もし、お時間がある方は、ぜひ金華山へお参りに行かれてみてはどうでしょうか? ご利益も多くいただけると思います。
取り壊しているのは、かつて金華山の土産店があったところ。ゆっくりではあるが、着実に復興へ向けて進んでいる。
(本誌編集長/石川修)
2014年の奉納の模様はこちら↓
※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2013年5月号』発売当時のまま、掲載しています。