奉納企画がスタートしたのは、2007年。「3年お参りすれば一生お金に不自由しない」といわれる宮城県牡鹿半島の霊島・金華山に鎮座する金華山黄金山神社。2015年も読者のみなさんから託された絵馬1689枚を持ち、本誌・石川編集長が金華山黄金山神社へ奉納祈願に行ってきた様子をご紹介。
※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2015年5月号』発売当時のまま、掲載しています。
あれから4年が経過、歩みは遅いが復興は着実に
2015年3月7日(土)大安。ちょうど、あの大震災から4年が経とうとしていたこの日。午前10時、みなさんから託された1600枚弱の絵馬を手に、金華山へ向かう船が出る鮎川港に到着。レンタカーを借り、仙台を出てから3時間の道のりだった。
今回は、神社の案内をしてくださる神職の大久保氏とともに金華山への船に乗ることに。金華山までの船のなか、ここ1年の積もる話を伺った。金華山にようやく桟橋(船の発着場)ができたこと、参道(神社までの道)にはまだ手が回っていないこと、など。島ゆえに復興の歩みはゆっくりだが、ただ着実に進んでいることを感じとれた。
天候もよく、海も穏やかだったことで、30分ほどの船旅で金華山へ。立派な桟橋に、思わず歓声を上げてしまった私とカメラマンに、大久保さんも笑みをこぼす。しかし、聞いたとおり、神社までの参道はいまだ応急処置程度で整備には至っていない状況だ。
神社に到着すると、さっそく奉納祈願に向けての準備へ。神事用浄掛をまとい、神殿へと向かうが、鮎川港で感じた寒さとはまったく別ものの強い冷気に身を包まれる。霊島の神秘をまさに体感した瞬間だった。
神殿に入ると、大きな太鼓の音が響く。奉納祈願の神事が始まることを告げるものだった。全身が震え、何かが体から抜けてしまうのではないかと思うほどだ。ふと、準備中に大久保さんが話してくれたことを思い出していた。「金華山へ船で渡るときには、全身についた悪いものが海に落ちるんですよ」と。だとすると、この音により抜け落ちそうになっているのは…自分の魂なのだろうか!? 必死に自分を奮い立たせ、神事の始まりを待った。
すべての絵馬に書かれた願いごとは神さまに届けられた!
神殿内が静寂に包まれると、斎主、巫女が入ってきた。続いて神事の開始を告げる胸が神殿内に響きわたる。さらに、神事に参加するすべての者を清めるため、大麻(おおぬさ)が振りかざされた。気持ちがスーッと洗われる。何度も経験しているが不思議な気持ちになる。そして、巫女が護摩木におごそかに火を灯した。
パチ…パチパチ…パチパチ
小気味よく燃え出す護摩木。いよいよ「祝詞奏上」。斎主による祝詞が神さまに向けて読み上げられる。しっかりとして、それでいてたゆたうように奏上される斎主の祝詞。この間、参加者はみな低頭し、ひらすら祈り続ける。私も、絵馬すべての願いごとをお聞きくださるよう、必死に祈った。
神さま
どうか絵馬すべての
願いごとをお聞きください
どうか、どうか
お願いします、神さま……
ひんやりとした神殿内にいるはずなのに、なぜか汗が吹き出ている。気がつくと、祝詞は終わっていた。
続いては、お神楽。お神楽は、地方によってさまざまだが、金華山では「弥栄(いやさか)の舞」が奉納されている。2人の巫女の舞によって、さながら時を忘れて竜宮城にとどまった浦島太郎になってしまったような感覚に陥る。
次は、神様からの祝福を受ける「金幣(きんぺい)」が参加者にかざされる。この間も低頭。と、金幣の金属と金属がぶつかり合う音が頭上で聞こえる。その音に加え、目にこそ見えないが祝福を受けている、確かにそう実感できた。
最後に玉串(たまぐし)を神前に備え、神さまに恭順を示す玉串奉典。二礼二拍手一礼し、奉納神事が滞りなく終了した。
なお、奉納された絵馬は、2015年3月18日に金華山山頂にある大海神(おおわだつみ)神社にてお焚き上げされている。
――神社のみなさまにお礼を述べ、帰路につこうと神社を出たときのこと。来るときには1匹も姿を見せなかった鹿が、なんと親子で私たちを出迎えてくれた。ここ金華山では、鹿は神さまの使いとされている。その鹿が私に寄ってきたのだ。それだけではない。なんと触れさせてくれたのだ。こちらを見て目を合わせてきた親鹿を見た瞬間、神社を出るときまでモヤモヤとあったある思いが確信へと変わった。
そう、すべての絵馬の願いごとは、確かに神さまに届けられたのだ……と。
奉納後記
あの震災から約4年。年に1度ではありますが、震災後は石巻市、そして金華山の変遷を見てきたつもりです。道なき道を進んだ震災翌年を考えると随分と復興が進んだ印象でした。ただ、物は造り直せても、心は簡単には作り治せません。起きてしまった悲劇はどうすることもできませんが、私には想像することすらできないような震災で傷ついた人の心が、少しでも癒えてくれることを願って止まない、そんな震災4年目の奉納となりました。
(本誌編集長/石川修)
2016年の奉納の模様はこちら↓
※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2015年5月号』発売当時のまま、掲載しています。