【2017年】宮城県「金華山黄金山神社」願かけ絵馬 奉納祈願レポート

2021/03/05

毎年本誌2月号綴込み付録の願かけ絵馬の奉納祈願に行っている編集長。2017年も1846枚の絵馬を、荒波を乗り越えて奉納へいってきた模様をご紹介。

※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2017年5月号』発売当時のまま、掲載しています。

新幹線乗車まさかの5分前に携帯電話がないことが発覚!

 2017年3月3日(金)、宮城県仙台駅に向かう東京駅新幹線ホームに立っていた。手には、1846枚の願かけ絵馬が入った、ずっしりと重たい袋を下げて。時刻は16時15分。出発時刻までは5分。寒さが身に染みるホームで新幹線の扉が開くのを、いまかと待ちわびる。時間が気になり、ふと携帯に手を伸ばした。

――ない。

 どこを探しても携帯電話がない。慌てて、同行取材する編集T(本誌携帯サイト担当)に、私の携帯にかけてもらう。カバンのどこからも、まして服のどこからも、振動ひとつ感じない。焦りのなか、頭をフル回転させる。待てよ、会社に忘れたのでは? という疑念にたどり着く。すぐさまTに編集部へと電話をしてもらう。案の定、机の上では私の携帯がさみしく振動していたという。

――やっちまった。

 明日の大事な奉納に向けて、連絡手段がないのは問題だ。そう考えた私は、踵を返し編集部へと急いで戻った。帰る途中、自分を戒める。何度も訪れている金華山黄金山神社への奉納。慣れによる気持ちに緩みはなかったか? 今日は移動日ということで緊張感の欠如はなかったのか? 気持ちを引き締めなおして、携帯を手に再び新幹線に乗るために東京駅へと向かう。

――不幸中の幸いだった。

 出発5分前に気づけたことは奇跡に近い。何か見えない力の介在をも感じる。もしかしたら、金華山黄金山神社が気づかせてくれたのかもしれない……。単なるハプニングといえばそれまでだが、そんなことを考えつつ、待たせてしまった編集Tに詫びを入れ、新幹線に乗車したのであった。

あの震災から6年の月日、奉納前夜に考えたこと

 予定より1時間ほど遅れて仙台入り。しかし余裕を持ったスケジュールにしていたことで、ことなきを得た。レンタカーを借り、宿泊するホテルにチェックイン。編集Tと明日の手順の確認を兼ね、一杯飲みに。ひとしきり奉納・祈願の進行を確認したあと、何気ない会話になった。そこで出てきたのが、「あれから6年が経つ」ということ。

――東日本大震災である。

 忘れることのできない未曽有の震災から、もう6年も経つのだ。宮城県・金華山黄金山神社とのこの企画がなければ、宝くじ雑誌である本誌が、震災をここまで扱うことはなかったのかもしれない。不思議なご縁……いや、ここにも目に見えない何かを感じざるを得ない。今年で11年目という年を改めて噛みしめる。手に持った酒を一気に飲み干し、明日に備えて早めに床に就いたのであった。

いざ、金華山へ向けて朝の6時に仙台を出発!

 3月4日(土)。朝6時、仙台のホテルを出発。一路、牡鹿半島の先端、鮎川港を目指し車を走らせる。車内では、たわいのない話に花が咲いた。だが、半島の道すがら、整備された何もない土地を見るたびに、ここには家があった、ここには何があった、ということを話すたびに、初めて見る光景とは思えないほど編集Tは驚いていた。

――震災の爪痕は、消えない。

 まさにそれを編集Tは実感したのだろう。百聞は一見に如かず……である。さらに編集Tを驚かせたのは、鮎川港。ほぼ何もない整地された土地。港は、コンクリートで整備されてはいるが、沈下した地盤が、隆起していて、その調整を今後しなければならないという。つまり、まだまだ港としての復興はできていないのだ。そう話してくれたのは、金華山へと向かう海上タクシー・シードリームの船長。実情はまだまだ厳しいのだ。

 鮎川港を9時に出発し、金華山へと向かう。少し前から、おかしな風が吹いていた。そのせいで、海は荒れ出している。一刻も早く奉納祈願を済ませ、鮎川港に戻ってこなくてはならない、それが船長の判断だった。その連絡は、金華山黄金山神社にも伝わっており、金華山へ着くと、私たちを神社へ連れていってくれる車が待機していた。無駄のない連携に感謝し、神社入りしたのであった。

神さま、1846枚の願いごとすべて叶えてください

 神社につくと権禰宜(ごんねぎ)の大久保さんが今年も温かく迎えてくれた。はや11年のお付き合い。時の流れを感じさせない、その風貌に、安堵感を覚える。挨拶もそこそこに、さっそく神殿へと向かった。

――神聖な冷気と霊気

 透明感のある冷気が満ちた神殿内。その冷えた空気を大きく振動させるように太鼓の音が響いた。奉納祈願を始める合図である。

 次に神官、巫女が神殿内に。いよいよだ。神前にご低頭。神官により、祝詞が奏上される。今回の祝い主、願いごとの内容、それらが神さまに向け、読み上げられる。

――どうか1846枚の願いごとをお聞きください、神さま

 時間にして数分だったが、1時間くらい経ったような感覚を覚える。

 次に巫女によるお神楽。今年で11年目なのに、何回見ても美しい。美しいものは美しいと素直に思えることが、なんともうれしい。あっという間に神楽が終わると、次は金幣(きんぺい)が参列者にかざされる。神さまからの祝福を受けるのだ。奉納した絵馬の代表者として私に金幣がかざされた。大きな祝福が1846枚の願いごとにありますように。

 最後に玉串奉典。榊を神前に供え、二拝二拍手一拝。こうしてすべての奉納祈願が滞りなく終了した。

――境内には神さまの使いである鹿が姿を現した。

 いや、待っていた、という表現が正しいのかもしれない。近づくと逃げることなく、頭を撫でさせてくれたのである。この瞬間、確信した。1846枚の願いごとは神さまに届けられたのだ、と。

 大久保さん、ご尽力いただいた神社のみなさんとの別れを惜しみつつ、金華山を後にしたのであった。

奉納後記

 復興は少しずつだが進んでいた! そう思えたのは、今回金華山へ来て、まず目に飛び込んできたものを見てだった。それは船の待合所。昨年までは何もなかったところに立派な待合所ができていたのだ。以前、そこには土産店があったことを知っている私としては、このきれいな待合所には何よりも復興を感じる。

 さらに神社へと続く参道でもそれを感じた。壁面が崩れていたが、そこに頑丈なコンクリートが施されていたのだ。まだ道半ばではあるものの、着実に復興が進んでいると思えた……。

 今後も、復興を見守り、そして少しでも伝えていくことが、微力ではありますが、本誌にできることなのではないかと思った奉納祈願となりました。

(本誌編集長/石川修)

 2018年の奉納の模様はこちら↓

【2018年】宮城県「金華山黄金山神社」願かけ絵馬 奉納祈願レポート

※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2017年5月号』発売当時のまま、掲載しています。

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