毎年恒例の本誌 2月号綴込み付録の「金華山黄金山神社」願かけ絵馬の奉納祈願に、2018年も編集長が行ってきました。「春の嵐」をくぐり抜けていった奉納の模様をご紹介。
※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2018年5月号』発売当時のまま、掲載しています。
日本列島に「春の嵐」が襲来!
「なんて日だっ!」
2018年2月27日(火)午前10時、編集長の石川は、そう語気を荒げた。このとき連日のように報道されていたニュースが原因だった。それは……
――日本列島に「春の嵐」到来
普段なら聞き流すニュースだが、このときは違った。そう、読者のみなさんから預かった2月号綴込み付録の願かけ絵馬1735枚を奉納祈願しなくてはならないからだ。奉納する場所は、金華山黄金山神社。宮城県の牡鹿半島先に鎮座するその霊島には、船を使わなくては渡れない。ひとたび嵐が来ようものなら、船が出港することなどままならない。
すぐさま気象庁のホームページで波浪情報をチェックした。すると、予定していた3月1日は、石巻沖は5メートル以上の波になっている。まず船は出ないだろう……。ところが、前日の28日(水)を見ると違った。28日(水)の波風の予測は、穏やかそのもの。
――石川は決断した
急きょすべての手配を再度整え、27日夕方、宮城県に向けて出発したのだった。
27日夜に仙台入り。雪がちらついていたが、積もらないとの予報。レンタカーを借り、ホテルにチェックイン。一杯引っかけ、明日に備えて早めの床に就いたのだった。
28日、快晴。まさに「嵐の前の静けさ」という表現がピタリと当てはまる。カメラマンとともに、朝6時にホテルを出発した。まず目指すは、石巻市の牡鹿半島先端の鮎川港。借りた車に乗り込んだ。ところが、安全第一で出発して数分後。
――ガガガッ
ブレーキを踏んだ瞬間にけたたましい音が聞こえてきた。となりにいたカメラマンが「ブレーキがロックした音ですね」と教えてくれた。朝いちで出発したため、日陰になっている道路はまだ凍結していたのだ。それに気づかず、滑ってしまった。幸いことなきをえたが、さらに慎重かつ冷静に運転に集中したのだった。
――1時間後
石巻市に入り、牡鹿半島の山道へと差し掛かる。ここで次なる強敵が行く手を阻んできた。「杉花粉」である。重度の花粉症である編集長は、マスクをして漢方薬も飲んでいたが、くしゃみが止まらない。その様子を見ながら、横ではカメラマンがニタついている。
「花粉めーっ」
思わず語気を荒げた。しかし、自然相手。どうなるわけでもない。ぐっと我慢しながら先を急いだ。
予定どおり、鮎川港には9時過ぎに到着。すぐさま、予約していた船に乗り込んだ。出港してすぐに気がついた。これまで経験したことがないほど海が穏やかなのだ。そのおかげで、いつもより早く金華山へと到着した。
――道路舗装中
船を降りると、神社へと続く参道で工事が行なわれていた。そのため、普段なら神社から送迎の車が来てくれるが、徒歩で上がらなくてはいけない。これも奉納祈願する試練と思いつつ、重い荷物を持って一歩ずつ歩みを進めた。
――神社到着
いつもお世話になっている神職の大久保さんが、迎えてくれた。ホッと安堵する瞬間だ。控え室に通され、奉納の準備にかかる。その間、大久保さんとの会話にも花が咲く。聞けば、ずいぶん復興は進んだが、神社の建物自体の修繕はまだまだ手付かずで、時間がかかる、とのこと。参道の工事を見ても、ゆっくりではあるが、確実に復興の道を歩んでいるようだった。
――御祈祷殿に到着
いつもながら、神聖な空気に包まれた空間。座るや否や、太鼓の音が御祈祷殿に響く。神事を始める合図だ。すると神職、巫女が御祈祷殿内に登場。これから奉納祈願の神事を行なう旨を神職が神さまにお伝えする。続いて、大麻(おおぬさ)によって、参加者の穢れを祓う。すると、巫女が護摩木に火を点けた。パチパチと音を立て、徐々に護摩木の炎は大きくなっていく。
――祝詞奏上が始まった
御神前に向け祝詞を読み上げる神職以外は、みな低頭。今回の絵馬の願いごとを神さまに届ける旨が読み上げられる。この瞬間、ただひたすらに祈った。絵馬すべての願いごとをどうかお聞きください、神さま、と。
護摩木の炎が消えると同時に祝詞奏上は終了した。続いては、巫女による神楽 。ここ金華山では、「弥栄(いやさか)の舞」が奉納されている。毎年見る神楽だが、実に美しい。
続いて、「金幣(きんぺい)」が参加者にかざされ、神さまの祝福を受ける。絵馬の代表として、金幣がかざされた。きれいな金属音を立てる金幣。余談だが、みなさんにもぜひとも一度は実際に聞いてほしい音色。
最後に「玉たま串ぐし」を奉納して、二礼二拍手一礼。滞りなく、奉納祈願の神事は終了したのであった。御祈祷殿を出て帰り仕度、大久保さんに別れを告げ、神社を後にした。
――春の陽気に誘われて鹿たちが姿を現した
金華山では鹿は神さまの使い。突如現れた鹿に「おぬしたちの奉納祈願、しかと見届けた」と言ってもらえたような気がした。そして、この瞬間、絵馬の願いごとが神さまに届いたのだと確信できたのだった……。
なお、絵馬は2018年3月18日の例祭にてお焚き上げされました。
奉納後記
3年続けてお参りすれば一生お金に不自由しない。そう言い伝えられてきた金華山黄金山神社。昔は、海を渡って島に行くこと自体、危険なこと。それを3年もできるということは丈夫な体を持っている。つまり、丈夫な体があれば、お金にも不自由しなくなるほど働ける、そういう意味なのだと私は解釈しています。
今年で10年目を迎えた当企画。途中、大きな災害があったことで、本来の奉納祈願以外にも、毎年神社周辺のリポートをすることが自分の役目であると感じています。今回も少しずつではありますが確実に復興は進んでいました。鮎川港の人に聞いた話ですが、夏ごろには食堂もできるのだとか。これからも当企画を続けながら、復興のレポートをしていきたいと思った今回の奉納でした。
2014年
2018年
(本誌編集長/石川修)
2019年の奉納の模様はこちら↓
※本記事は、月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法 2018年5月号』発売当時のまま、掲載しています。