前回はビンゴ5の仕組みと当たった数字の個数ごとに成立するライン数を分類しました。今回は前回の分類を用いて、ビンゴ5の各等級の当せん確率を求めていきます。
前回のおさらい
前回の記事では、当たった数字ごとに成立するライン数(当せん等級)を分類し、盤面のパターン数を数えました。前回の内容をもとに、当たった数字の個数ごとに各当せん等級に対して何パターンの盤面が存在するかをまとめたものが、表1です。例えば、当たった数字の個数が5個の場合は、16パターンが5等になり、32パターンが6等になり、8パターンが7等になります。表の空欄は0を表しています。
表1 当たった数字の個数ごとの盤面のパターン数
当たった数字の個数と成立するラインの数
まずは取りうる全体の場合の数を求めましょう。
全体の場合の数
第1回~第3回までのロトナン確率講座で学んだとおもいますが、確率は
当せん確率 = 当せんの個数 / 全体の場合の数
です。
まずは、全体の場合の数から求めましょう。
ビンゴ5は上の写真①~⑧の8マスから
① 「1~5」から1個数字を選ぶ
② 「6~10」から1個数字を選ぶ
③ 「11~15」から1個数字を選ぶ
④ 「16~20」から1個数字を選ぶ
⑤ 「21~25」から1個数字を選ぶ
⑥ 「26~30」から1個数字を選ぶ
⑦ 「31~35」から1個数字を選ぶ
⑧ 「36~40」から1個数字を選ぶ、
といったように数字を選んでいきます。
以上から、全体の場合の数は
5×5×5×5×5×5×5×5=58=390,625通り となります。
それでは第4回で学んだ「当たった数字の個数と成立するラインの数の関係」をもとに、当たった数字ごとに、何通りの代表パターンがあるか、そしてその確率を見てみましょう。
8個の数字が当たった場合
8箇所の数字が当たる場合の数は1通りです。このときには常に8ラインが成立します。
したがって、
8個の数字が当たって、8ライン成立する場合の数 1通り
7個の数字が当たった場合
まずは、図のように当たる場合の数を数えてみましょう。この場合、選んだ数字が①から⑦までは抽せんされた数字と同じで、⑧が抽せんされた数字以外の4つの数字でなければなりません。したがって、当たる場合の数は4通りです。
次に、図のように当たる場合の数を数えてみましょう。この場合は⑦が抽せんされた数字以外の4つの数字のいずれかになる必要があります。したがって、このときも当たる場合の数は4通りです。
同様に、他の場所が当たる場合を考えてみても、それぞれの図のように当たる場合の数は4通りになります。
以上から、
7個の数字が当たって、6ライン成立する場合の数 16通り
7個の数字が当たって、5ライン成立する場合の数 16通り
であることがわかります。さらに、
当たった数が同じなら、当たった場所がどこでも場合の数が同じ
ことがわかります。
6個の数字が当たった場合
先ほどと同じように、図のように当たる場合の数を数えてみましょう。この場合は、④と⑤が抽せんされた数以外の4種類の数のうちの1つになる必要があり、その他の場所は抽せんされた数字と同じ数字になります。したがって、当たる場合の数は
4 × 4 = 16 通り
です。また、先ほどと同様に、「当たった数が同じなら、当たった場所がどこでも場合の数が同じ」です。さらに、表1から6個の数字が当たった場合には、2パターンの盤面で5ラインが成立し、12パターンの盤面で4ラインが成立し、14バターンの盤面で3ラインが成立します。これらをまとめると、
6個の数字が当たって、5ライン成立する場合の数 2 × 16 = 32通り
6個の数字が当たって、4ライン成立する場合の数 12 × 16 = 192通り
6個の数字が当たって、3ライン成立する場合の数 14 × 16 = 224通り
になります。
5個の数字が当たった場合
5個の数字が当たった場合は、どこかの3個の数字が外れています。したがって、5個の数字が当たった時は、どの盤面でも、場合の数は
4 × 4 × 4 = 64 通り
です。また、表1から5個の数字が当たった場合には、16パターンの盤面で3ラインが成立し、32パターンの盤面で2ラインが成立し、8バターンの盤面で1ラインが成立します。これらをまとめると、
5個の数字が当たって、3ライン成立する場合の数 16 × 64 = 1,024通り
5個の数字が当たって、2ライン成立する場合の数 32 × 64 = 2,048通り
5個の数字が当たって、1ライン成立する場合の数 8 × 64 = 512通り
になります。
4個の数字が当たった場合
4個の数字が当たった場合は、どこかの4個の数字が外れています。したがって、4個の数字が当たった時は、どの盤面でも、場合の数は
4 × 4 × 4 × 4 = 256 通り
です。また、表1から4個の数字が当たった場合には、18パターンの盤面で2ラインが成立し、44パターンの盤面で1ラインが成立します。これらをまとめると、
4個の数字が当たって、2ライン成立する場合の数 18 × 256 = 4,608通り
4個の数字が当たって、1ライン成立する場合の数 44 × 256 = 11,264通り
になります。
3個の数字が当たった場合
3個の数字が当たった場合は、どこかの5個の数字が外れています。したがって、3個の数字が当たった時は、どの盤面でも、場合の数は
4 × 4 × 4 × 4 × 4 = 1024 通り
です。また、表1から3個の数字が当たった場合には、28パターンの盤面で1ラインが成立します。これらをまとめると、
3個の数字が当たって、1ライン成立する場合の数 28 × 1024 = 28,672 通り
になります。
2個の数字が当たった場合
2個の数字が当たった場合は、どの盤面でも、場合の数は
4 × 4 × 4 × 4 × 4 × 4 = 4096 通り
です。また、表1から4個の数字が当たった場合には、4パターンの盤面で1ラインが成立します。これらをまとめると、
2個の数字が当たって、1ライン成立する場合の数 4 × 4096 = 16,384 通り
になります。
各等級の確率を求めよう
先程の結果を表にまとめてみましょう。当たった数字の個数ごとに各当選等級になる場合の数をまとめたものが、表2です。
表2 当たった数字の個数ごとの場合の数
表1と同様に、空欄の部分は0通りを表しています。また、合計に書かれている数字は、列に現れる数字をすべて足し合わせたものです。実は合計に書かれている数字はその当選等級になる場合の数を表しています。例えば、3等の場合は
(3等になる場合の数)
=(5ライン成立する場合の数)
= (7個の数字が当たって、5ライン成立する場合の数)
+(6個の数字が当たって、5ライン成立する場合の数)
= 16 + 32 = 48 通り
となるので、3等の列に書かれている合計と一致していることが確認できます。
あとは、
当せん確率 = 当せんの個数 / 全体の場合の数
であることを利用すれば、次のとおりに当選確率を求めることができます。
1等になる確率 = 1 / 390,625
2等になる確率 = 16 / 390,625
3等になる確率 = 48 / 390,625
4等になる確率 = 192 / 390,625
5等になる確率 = 1,248 / 390,625
6等になる確率 = 6,656 / 390,625
7等になる確率 = 56,832 / 390,625
かくして、下の表のとおりに当せん確率を求めることができました。
今回のまとめ
ビンゴ5の等級ごとの当せん確率についてわかりましたか? これまでのロトやナンバーズと違って、難しいと感じた方が、第4回・第5回のビンゴ5講座を読んで少しでもわかってもらえるとうれしいです。
次回はいよいよナンバーズの当せん確率について! 乞うご期待。
※次回は8月7日(月)更新予定です。
野﨑 隆之(のざき たかゆき)
2012年 東京工業大学 大学院理工学研究科博士課程修了。
現在、山口大学 大学院創成科学研究科 講師。
研究内容はデジタル情報を誤りなく伝送・保存する基礎技術である「誤り訂正符号」と、その理論である「符号理論」。
大学では「情報理論」や「情報ネットワーク」などの情報通信に関する授業を主に担当。
普段の研究でも、場合の数を数え上げをよく利用している。
イラスト/シライカズアキ