川村です。
ロトナン確率講座の第1回はいかがでしたでしょうか? 難しかったですか? 簡単でしたか? 難しいと思った方は、もう一度、第1回を読みなおしてみてくださいね。
前回の復習
さて、早速ですが、第1回のポイントを整理しましょう。
これは覚えていますか? 1ヶ月も前のことだし忘れたよ。という方も大丈夫! 第1回の復習を含め、確認問題を解説してきます。
前回の解答
前回の「確認問題」は
Q:ロト7では、1~37の数字から7個の数字を選びます。全体の場合の数、つまり、何通りの組み合せがあるでしょうか?
でした。答えは、次のとおりです。
※答えをクリック!
できましたか? 「37C7」まで書けていれば、その後の計算はできなくても合格です。
さて、この問題は37個の数字から7個を選ぶ組み合わせを考えればよいことに気付きましたね? そう、順番は気にしなくてよい場合です。これは37C7 と書けば良いのです。
第1回で学んだ【定義】を思い出してみましょう……
です。
では、これに基づいて、実際に計算してみましょう。計算式は覚えなくても、これを見ながら計算できれば十分です。
分子は、n=37から始まって、1つずつ小さくしていき7個掛け合わせます。
分母は、r=7から1までの掛け合わせになります。
したがって、
37C7= 37×36×35×34×33×32×31 / 7×6×5×4×3×2×1=10,295,472
となります。思い出しましたか? この組み合わせの定義はロトではよく使う式なので覚えておくと便利です。
それでは復習も終わったところで、第2回はロト6の各等級の確率について見ていきましょう。
ロト6の各等級の当せん確率
ご存知と思いますが、ロト6は当せん数字(本数字とボーナス数字)と申込数字の一致条件に応じて等級があります。当せん条件は以下の表のとおりです。
ここでは、当せん数字の本数字が「05 11 20 32 36 43」であり、ボーナス数字が「02」である例を使って、当せん確率を求めてみたいと思います。
まず、当せん確率は「当せんの個数 / 全体の場合の数」です。全体の場合の数は6,096,454通りでしたね。これは各等級で共通です。
ロト6では、ボーナス数字が1個ありますので、この場合(2等)は後で考えることにします。
まずは、本数字だけで当せんが決まる1等と3〜5等の当せん確率を求めてみましょう。
本数字のみの当せん確率(2等以外)
●1等の当せん確率
1等は「申込数字が本数字6個とすべて一致」が当せん条件です。つまり、例の場合「05 11 20 32 36 43」の1通りのみ。したがって、1/6,096,454 となります。
●3等の当せん確率
3等は「申込数字が本数字5個と一致」が当せん条件です。当せんするには、本数字6個の中から5個が一致し、かつ、残りの1個は本数字とボーナス数字以外の数字ならば何でもよいのです。2つの条件があることに注意してください。
<条件1>:本数字6個の中から5個が一致する。
<条件2>:残りの1個は本数字とボーナス数字以外の数字ならば何でもよい。
当せん条件には、<条件2>のことが書かれていませんね? なのにどうして出てきたのだろう? と不思議に思ったはずです。
もし、<条件2>が無いと、残り1個の数字が本数字の場合、1等になってしまいます。また、ボーナス数字の場合、2等になってしまいます。したがって、1等でもなく、2等でもなく、3等であるためには、<条件2>が入ってくるのです。
さて、具体的に計算してみましょう。
<条件1>はもう分かりますね? これは、6個の本数字の中から5個を選ぶ組み合わせになります。したがって、6C5通りと書くことができます。
次に、<条件2>を考えましょう。ロト6は1〜43の数字がありますから、ここから本数字6個とボーナス数字1個を除くと、43-(6+1)=36 個となります。どれを選んでも良いので36通りあります。
以上より、<条件1>と<条件2>の場合の数を掛け合わせて、
6C5 ×36=6×36=216通り
となります。よって、当せん確率は、 216/6,096,454 となります。
●4等の当せん確率
3等の場合が分かれば、4等も同様に計算することができます。やはり2つの条件があります。
<条件1>:本数字6個の中から4個が一致する。
<条件2>:残りの2個は本数字以外の数字ならば何でもよい。
おや? 3等の場合と<条件2>が若干異りますね? 4等を計算する場合には、ボーナス数字を含んでもよいのです。ボーナス数字は1個しかありませんから、残りの2個のうち1個がボーナス数字であったとしても2等になることはありません。
さて、具体的に計算してみましょう。
<条件1>は6個の本数字の中から4個を選ぶ組み合わせになります。したがって、6C4通りと書くことができます。
6C4 = 6×5×4×3 / 4×3×2×1 =15通り
次に、<条件2>を考えます。43個の数字から本数字6個を除くと、43-6=37個の数字があります。この中から2個を選ぶ組み合わせとなるので、37C2通りと書くことができます。
37C2 = 37×36 / 2×1 = 666通り
以上より、<条件1>と<条件2>の場合の数を掛け合わせて、
6C4 × 37C2 =15×666=9,990通り
となります。よって、当せん確率は、 9,990/6,096,454 となります。
●5等の当せん確率
5等の計算は4等とほぼ同じになります。
<条件1>:本数字6個の中から3個が一致する。
<条件2>:残りの3個は本数字以外の数字ならば何でもよい。
具体的に計算してみましょう。
<条件1>は6個の本数字の中から3個を選ぶ組み合わせになります。したがって、6C3通りと書くことができます。
6C3 = 6×5×4 / 3×2×1 =20通り
次に、<条件2>を考えます。本数字以外の37個の数字の中から3個を選ぶ組み合わせとなるので、37C3通りと書くことができます。
37C3 = 37×36×35 / 3×2×1 = 7,770通り
以上より、<条件1>と<条件2>の場合の数を掛け合わせて、
6C3 × 37C3 =20×7,770=155,400通り
となります。よって、当せん確率は、 155,400/6,096,454 となります。
ボーナス数字を含む当せん確率(2等)
2等の当せん条件は「申込数字が本数字5個一致し、さらにボーナス数字1個と一致」が条件です。ボーナス数字と一致することが新しい条件になります。
<条件1>:本数字6個の中から5個が一致する。
<条件2>:残りの1個がボーナス数字である。
<条件1>は3等の場合と同様に、6個の本数字の中から5個を選ぶ組み合わせになります。したがって、6C5通りと書くことができます。
<条件2>は難しくありません。ボーナス数字は1個しかありませんから、これには1通りしかありません。
以上より、<条件1>と<条件2>の場合の数を掛け合わせて、
6C5 × 1=6×1=6通り
となります。よって、当せん確率は、 6/6,096,454 となります。
今回のまとめ
ロト6の各等級の当せん確率を計算してみました。表には書かれていない<条件2>がなぜ出てくるのかが分かれば、計算は難しくありません。
<条件1>は、本数字と何個一致するかの組み合わせを考えれば、何通りかを計算することができます。
<条件2>は、例えば3等を考えるときには、1等や2等にならない条件を考えて、条件を求める必要があります。ゆっくり考えれば理解できるはずです。
<条件1>と<条件2>にそれぞれ何通りあるかが分かれば、それを掛け合わせるだけで、各等級に何通りあるかが分かります。
2等のボーナス数字が一見難しそうに見えますが、<条件1>と<条件2>に分けて考えれば、他の等級の場合と同様に簡単に計算することができます。
これで、ロト6の各等級の当せん確率がわかりましたね。
※次回は5月1日(月)更新予定です。お楽しみに!
確認問題
ロト7の6等当せん条件は「申込数字が本数字3個と一致し、さらにボーナス数字2個のうち1個または2個と一致」です。この場合、何通りの組み合わせがあるでしょうか?
※正解は次回のコラムで発表!
川村 正樹(かわむら まさき)
1999年 筑波大学大学院工学研究科博士課程修了。博士(工学)。現在、山口大学大学院創成科学研究科准教授。
主な研究内容は、ニューラルネットワークの理論や、電子透かしモデルの復号アルゴリズムなど。著書「CentOS 7で作るネットワークサーバ構築ガイド」(秀和システム)などLinux関係の解説本を多数執筆。
山口大学卒業生の依頼を受け、卒業生のためならロトナン確率講座講師を引き受けましょうと、本講座に着手。
イラスト/シライカズアキ