第11回はジャンボ宝くじの当せん確率について。その前に、前回の解答から。
前回の解答
問題:
表6はビンゴ5の当せん確率と当せん金(理論値)です。配分率を求めてください。
表6 ビンゴ5は当せん確率と当せん金(理論値)
等級 当せん条件 当せん確率 当せん金額(理論値)
1等 8ライン 1/390,625 5,556,200円
2等 6ライン 16/390,625 300,000円
3等 5ライン 48/390,625 45,000円
4等 4ライン 192/390,625 18,200円
5等 3ライン 1,248/390,625 2,500円
6等 2ライン 6,656/390,625 700円
7等 1ライン 56,832/390,625 200円(原則固定)
解答:
前回と同様に1口(200円)の内、各等級の賞金に使われる額を計算していきましょう。
前回の通り、1口(200円)の内、1等の賞金のために使われる金額は
(1口の内1等の賞金に使われる額)=
(1等の当せん金額の理論値)×(1等の当せん確率)
で計算ができました。同じように計算をしてみると、結果は次のとおりになります。
(1口の内1等の賞金に使われる額) = 5,556,200 × 1/390,625 = 14.223872
(1口の内2等の賞金に使われる額) = 300,000 × 16/390,625 = 12.288
(1口の内3等の賞金に使われる額) = 45,000 × 48/390,625 = 5.5296
(1口の内4等の賞金に使われる額) = 18,200 × 192/390,625 =8.945664
(1口の内5等の賞金に使われる額) = 2,500 × 1,248/390,625 =7.9872
(1口の内6等の賞金に使われる額) = 700 × 6,656/390,625 =11.927552
(1口の内7等の賞金に使われる額) = 200 × 56,832/390,625 =29.097984
以上のすべてを足し合わせると、1口の内、賞金に使われる額が計算できて、次のようになります。
(1口の内賞金に使われる額)≒ 89.9999
これを1口の金額で割れば配分額が計算できるので、配分額はおおよそ
44.9999 %
と計算できます。この結果から、実際の配分額が大体45%であることがわかります。
ジャンボ宝くじの当せん確率
第11回はジャンボ宝くじについて。
ジャンボ宝くじは年に5回2・5・7・11月ごろ発売されます。
平成27年の年末ジャンボ宝くじで、1等・前後賞合わせて10億円と、宝くじ史上最高額を更新しました。有名な「サマージャンボ宝くじ」や「年末ジャンボ宝くじ」は発売時期になるとTVで取り上げられるほどの一大行事となっています。
ユニット制
まずは、ジャンボ宝くじの当せん確率を求める上で必要となる、ユニット制について説明します。
ユニット制とはみずほ銀行の説明によると
ユニット制とは
“主としてジャンボ宝くじに使用している発売のしくみです。賞金条件や発売額がユニット単位で決定されます。
「100000 番」から「199999 番」までの10 万枚を1 組としており、組の数によって1 ユニットの枚数が決まります。”
とあります。
具体例として2017年11月に発売された第731回全国「年末ジャンボ宝くじ」で考えてみましょう。
画像1は第731回全国「年末ジャンボ宝くじ」の実際に購入した券です。「ユニット」「組」「番号」が書かれています。
画像1:第731回全国「年末ジャンボ宝くじ」表
券の裏も見てみましょう。
画像2:第731回全国「年末ジャンボ宝くじ」裏
裏(画像2)には第731回全国「年末ジャンボ宝くじ」について書かれています。本講座に関わる部分を抜粋すると
<抜粋>
この宝くじは、100,000番から199,999番までの10万通りを1組として01組から200組までの2,000万通(60億円)を1ユニットとし、ユニットごとに順次売り出し、抽せんによって次の当せん金をつけます。
等級等 | 当せん金 | 本数 |
---|---|---|
1等 | 700,000,000円 | 1本 |
1等の前後賞 | 150,000,000円 | 2本 |
1等の組違い賞 | 300,000円 | 199本 |
2等 | 10,000,000円 | 20本 |
3等 | 1,000,000円 | 200本 |
4等 | 100,000円 | 1,400本 |
5等 | 10,000円 | 20,000本 |
6等 | 3,000円 | 200,000本 |
7等 | 300円 | 2,000,000本 |
[上記は1ユニット(2,000万通)当りの当せん金です]
以上の抜粋をまとめると、
・一つの組には、100,000番から199,999番までの番号(10万口)が含まれる
・一つのユニットには、01組から200組までの200組(合計2000万口)が含まれる
・各ユニットには表の通りに当たりくじが含まれている
ということがわかります。言い換えると、1ユニットに1等は1本、1等前後賞は2本、1等の組違い賞は199本、2等は20本……ということです。
当せん確率
以上から、第731回「年末ジャンボ宝くじ」1等の当せん確率は
100,000番~199,999番までの10万通りを1組として、01組から200組を1ユニットとしているので、つまり10万通り×200組で、2,000万通りあることになります。
1等はこの中に必ず1枚あるので、2,000万分の1であることがわかります。
まとめ
ジャンボ宝くじにはユニット制が用いられています。
宝くじ詳細に必ずユニットについて記載があるので、確認してみるのもおもしろいかもしれません。
確認問題
第732回全国「年末ジャンボ宝くじミニ」の裏を確認すると、このような説明がなされています。この第732回「年末ジャンボ宝くじミニ」の1等の当せん確率を求めてください。
画像3:第732回全国「年末ジャンボ宝くじミニ」裏
<抜粋>
この宝くじは、100,000番から199,999番までの10万通りを1組として01組から100組までの1,000万通(30億円)を1ユニットとし、ユニットごとに順次売り出し、抽せんによって次の当せん金をつけます。
等級等 | 当せん金 | 本数 |
---|---|---|
1等 | 50,000,000円 | 7本 |
1等の前後賞 | 10,000,000円 | 14本 |
2等 | 10,000,000円 | 10本 |
3等 | 1,000,000円 | 100本 |
4等 | 100,000円 | 1,000本 |
5等 | 10,000円 | 10,000本 |
6等 | 3,000円 | 100,000本 |
7等 | 300円 | 1,000,000本 |
[上記は1ユニット(1,000万通)当りの当せん金です]
野﨑 隆之(のざき たかゆき)
2012年 東京工業大学 大学院理工学研究科博士課程修了。
現在、山口大学 大学院創成科学研究科 講師。
研究内容はデジタル情報を誤りなく伝送・保存する基礎技術である「誤り訂正符号」と、その理論である「符号理論」。
大学では「情報理論」や「情報ネットワーク」などの情報通信に関する授業を主に担当。
普段の研究でも、場合の数を数え上げをよく利用している。
イラスト/シライカズアキ